ミニチュアダックスフンドの犬種図鑑

1.ミニチュアダックスフンドの歴史

ミニチュアダックスフンドの起源は古く、最も古いものでは古代エジプトの壁画にミニチュアダックスフンドと酷似する犬種が刻まれています。
現在のミニチュアダックスフンドは、スイスのジュラ山岳地方のジュラ・ハウンドが祖先犬といわれ、12世紀頃にドイツやオーストリアの山岳地帯にいたビンシェルとの交雑によって今日のスムース・ヘアード種の基礎犬が作出されたといわれています。
当時は現在とは違い体重が10~20㎏と大きく、シュナウザーと交配して、更に他のテリアによってワイアー・ヘアード種ができ、ロング・ヘアード種は15世紀頃、スパニエルとの交雑によって作出されましたが、何処で作出されたのか定かではありません。
ミニチュアダックスフンドは、アナグマ猟の為に繁殖されてきた歴史があります。当時、ミニチュアダックスフンドはドイツ国内においてはテッケル、テカル、ダッケルと呼んでいたといわれています。19世紀頃、スタンダードでは入る事のできない小さい穴に入って猟をする為に改良されたミニチュアとカニーンヘンが誕生し、この頃からアメリカや他の国へも少しずつ輸出されるようになりました。
アメリカに渡った際に狩猟犬として使役する事は少なく、コンパニオン・ドッグとして飼育する事が多かったようです。
日本には明治時代に渡って来たと言われていますが、実際人気が出てきたのは1955年に日本ミニチュアダックスフンド倶楽部が設立されてからで、それ以降は人気犬種として君臨し、1999年~2007年までJKCの犬種登録でNo.1を獲得しています。
今では少し人気は落ち着いていますが、いまだに人気犬種の1つに数えられています。

2.ミニチュアダックスフンドの毛色

ミニチュアダックスフンドの毛質はロング・コート、ワイアー・コート、スムース・コートがあり、毛色はそれぞれの毛質で変わり、手入れの方法も違います。
ロング・コートは毛質が柔らかく、光沢があって長い被毛です。
ワイアー・コートは全体に密生した粗い剛毛がアンダーコートと共に全身を覆っています。
スムース・コートは、毛質が硬く、光沢があり、短く密生しています。
ミニチュアダックスフンドには他の犬種にはないほどの豊富な毛色があり、それだけでも子犬を選ぶのを悩む原因となりますね。単色ではレッド、クリーム、ゴールド、チョコレート、イザベラがあり、JKCには認められていないブラックやブルーなどもあります。2色ではブラック&タン、チョコレート&タン、ブラック&クリーム、チョコレート&クリーム、ブルー&タン、イザベラ&タン、ブルー&クリーム、イザベラ&クリームなどがあります。
その他の毛色として、ベースとなる毛色にブラックの差し毛が混ざるブリンドル、白っぽい斑模様が入るダップル、JKCでは認められていないパイボールド、両親がダップルのミニチュアダックスフンドから生まれるダブル・ダップルなどがあります。

3.ミニチュアダックスフンドの特徴

胴が長く、肢が短い胴長短足の独特な体形をしていて、筋肉質の良く締まった体格をしています。ミニチュアダックスフンドは元々狩猟犬なので、優れた嗅覚を持ち、周囲の音や周囲のものの動きに敏感で、興奮しやすく、体格に似合わないほど大きな声でよく吠えます。また、何かを追跡したり、穴を掘ったりする事が大好きな犬種です。
ミニチュアダックスフンドは警戒心が強く、吠えやすい性格な為に番犬に向いていますが、無駄吠えに対するしつけをしないとずっと吠えてしまう犬になってしまいますので要注意です。
もともと、社交性があるタイプの犬ではありませんが、飼い主や家族に対しては深い愛情を示します。
ミニチュアダックスフンドは環境の適応が得意なので、ある程度の温暖な地域であれば、室外でも飼育できますが、夜は室内で飼育するようにしてあげましょう。

4.ミニチュアダックスフンドの性格

ミニチュアダックスフンドの性格は、生まれつき友好的で人が大好きな性格で落ち着きがあり、情熱的で辛抱強い性格ですが、もともと狩猟犬なので時として攻撃的で怖いもの知らず、負けず嫌いな性格を見せる事もあるのでしつけをしっかりする必要があります。
活発な性格で好奇心旺盛で、飼い主や家族と遊ぶ事が大好きで走り回る事が大好きな性格をしています。
独立心旺盛な性格ですが、飼い主や家族と一緒に何かを行う事が大好きな犬種ですが、見知らぬ子供に対しては突発的に攻撃的になる事があるので、小さい子供がそばにいる時は注意が必要です。
ミニチュアダックスフンドは毛質によっても性格が変わります。
ロング・コートは温和で甘えん坊な性格で、やや神経質な所があります。
ワイアー・コートはやや気が強く、イタズラ好きで勇敢な性格で他のタイプよりも社交的です。
スムース・コートはそれほど神経質ではなく、賢く、人懐こく、飼い主や家族に忠実で活発な性格をしています。
飼い主や家族には従順ですが、見知らぬ人に対しては警戒心が強く、攻撃的になる事もあるので見知らぬ人がいる時は噛み付かないように注意が必要です

5.ミニチュアダックスフンドの飼い方

1. 飼育環境
ミニチュアダックスフンドは、環境適応力が強い為の室外でも飼育する事ができますが、室外飼育だと犬とのコミュニケーション不足になりやすくなり、犬との信頼関係を築きにくくなる為に夜だけでも室内で飼育するようにします。
更に、ミニチュアダックスフンドは胴長短足な為に地面と他の犬種よりも接近する為に輻射熱を感じやすく、熱射病になりやすいので、室内飼育の方が、体温調節がしやすいので室内飼育が向いている犬種といえます。

2. 運動
ミニチュアダックスフンドは元々狩猟犬であった為に、小型犬の割に体力があり、運動量も豊富です。1日に60分ほどの運動量が必要で、日光浴やストレス解消を目的として運動をさせるとともに、社交性があるとはいえないミニチュアダックスフンドの社交性を身に着けさせるために他の人や犬との関りあいの機会を持たせる目的でも1日に2回程度は外に一緒に出掛けましょう。

3. しつけ
ミニチュアダックスフンドは元狩猟犬なので、小型犬の割に大きい声で吠える上に、警戒心の強い犬種なので吠えやすい犬種なので無駄吠えに対するしつけは必要です。
ミニチュアダックスフンドは飼い主や家族には深い愛情を示しますが、見知らぬ人に対しては警戒心を抱き、特に子供に対しては突発的に攻撃的になる事がある為に噛みつかないようにしつけを行う必要があります。
室内飼育する場合は、トイレなどのしつけも行う必要があり、飼い主や家族のライフスタイルに合わせてしつけの内容を変えてきます。

4. 手入れ
ミニチュアダックスフンドにはロング・コート、ワイアー・コート、スムース・コートがあり、毛質が違う種類がいるので、毛質の違いによって手入れの方法も違います。
ロング・コートとワイアー・コートはトリミングが必要で、スムース・コートは短毛な為にブラッシングとシャンプーを定期的に行っていれば十分です。
ブラッシングはスムース・コートの場合は週に2~3回のペースで行い、ロング・コートとワイアー・コートの場合は毎日ブラッシングを行います。
ブラシも毛質によって変わり、スムース・コートの場合はスリッカーブラシと獣毛ブラシだけで十分ですが、ロング・コートの場合はピンブラシとコーム、ワイアー・コートの場合はラバーブラシやラバーグローブを用意してブラッシングを行います。
ミニチュアダックスフンドは垂れ耳なので、耳の通気性が悪く、耳垢や細菌等の繁殖が起こりやすい為に定期的に耳掃除を行います。
犬の爪は地面に接触する為に、しっかりと運動をさせておけば爪切りを定期的に行う必要はなく、爪の伸び具合を見て切るようにします。

6.ミニチュアダックスフンドの気をつけたい病気

1. 椎間板ヘルニア
椎間板とは、神経の周りを保護している脊椎骨と脊椎骨の間をつなぐ「クッション」の役割をするものです。ミニチュアダックスフンドは、椎間板が遺伝的に変性しやすい犬種であるため、椎間板ヘルニアを起こしやすいと言われています。椎間板ヘルニアは、椎間板物質が元々ある場所からはみ出し、神経を圧迫することで発生する病気です。椎間板ヘルニアが発生すると、痛みがでたり、重度な場合は歩けなくなってしまうことがあります。症状に合わせて治療は異なり、神経の圧迫が軽度な場合は内科的な治療で症状を緩和させることも可能です。歩行が困難になるような重度な症状の場合は、手術が必要な場合が多く、早期に治療ができれば手術によって完治させることも可能です。
大事な事は、病気を事前に予防することですので、ミニチュアダックスフンドの腰に負担のかからない環境を作ってあげるようにしましょう。滑りやすいフローリングにはマットを引く、なるべく高いところから上り下りをしないように心がける、太り過ぎないようにする等に気を付けることで、ミニチュアダックスフンドのヘルニアの発生確率を下げることができます。

2. 緑内障
緑内障は、眼球内の房水が外に排出できないなどで、房水が異常にふえて眼圧が高くなり、視神経を圧迫して障害を起こす病気で、放置すると失明する事もあります。ミニチュアダックスフンドは、緑内障の発生が比較的多いとされています。
緑内障は両目で起こる傾向が強く、一般には激痛を伴い、視野異常から進行に伴い視力低下、視力消失にいたる病気です。
その他の症状としては、角膜浮腫、上強膜血管の拡張、散瞳傾向、対光反射の減弱や消失等があります。
緑内障は完治が難しい病気とされていますが、治療によって進行を遅らせることが可能です。目を痛そうにしている、目が大きくなってきた、最近物に良くぶつかるなどの症状があるときは、まず獣医さんに相談してみて下さい。

3. クッシング症候群
クッシング症候群は副腎皮質機能亢進症とも呼ばれ、副腎皮質ホルモンの過剰分泌によって引き起こされる病気です。
ミニチュアダックスフンドのクッシング症候群は通常6歳齢以上で認められる事が多いとされています。
多飲多尿、多色、皮膚の菲薄化(薄くなる事)、左右対称性の脱毛、皮膚の色素沈着、などの症状が起こることが多く、お腹が垂れ下がってくる等の特徴的な姿になることが多く認められます。ミニチュアダックスフンドがこういった症状を起こしていることに気づいたら、まずは獣医さんに相談してみて下さい。クッシング症候群は、お薬による治療で悪化を防ぐことが出来る病気ですので、早めに診断して治療をすることが重要です。