豆知識1:獣医監修によるトイプードルのレッグペルテスの解説

1.トイプードルのレッグペルテス総論

トイプードルのレッグペルテスとは、大腿骨(太ももの骨)の大腿骨頭(股関節を作っている大腿骨の端っこ)が壊死してしまう病気です。

2.トイプードルのレッグペルテスの特徴

発症するとトイプードルは、痛みを示したり、後肢をひきずって歩いたりします。発症した後肢と臀部の筋肉に萎縮がみられます。1歳以下の若齢犬でみられ、トイプードルをはじめとした小型犬に多く発症します。片側のみで発症することが多く、両側での発症は15%ほどと言われています。
  • 細菌などの感染による壊死ではないこと
  • 大腿骨頭自体は炎症を起こさないこと
この2点が他の大腿骨頭壊死症と比べたレッグペルテスの特徴です。
レッグペルテスの大腿骨頭は、ひび割れを起こしたり、擦り減って平たくなったりします。進行すると、壊死した大腿骨頭は肉芽組織に置き換わり、周辺の組織である関節包は固く、分厚くなります。

3.トイプードルのレッグペルテスの発症

レッグペルテスは3~13ヶ月(特に6~7ヶ月)の成長期のトイプードルが発症すると言われています。遺伝性があると考えられているので、レッグペルテスを発症した犬と血縁関係がある場合は特に注意が必要です。
進行性の疾患であり 治療が遅れると後遺症が残ることがあります。トイプードルを迎え入れる際はあらかじめ血縁関係のある犬の病歴を調べておくことをおすすめします。

4.トイプードルのレッグペルテスの原因

トイプードルのレッグペルテスのはっきりした原因は未解明ですが、大きく2つの原因が考えられています。
  • 1.構造的な原因 〜成長期での発症〜
    成長期の若い動物は、骨を成長させるために骨の一部が軟骨でできています。この軟骨を成長板(骨端軟骨、骨端板)といい、骨を横切る板の様な形をしています。
    成長期が終わり、骨を伸ばす必要がなくなると成長板は骨に置き換わります。
    成長板が残っている動物の大腿骨頭には、骨幹部(骨の真ん中部分)からの血液供給がありません。そのため大腿骨頭へ血液を供給する血管は骨の外からの血管のみです。この血管が損傷を受け、大腿骨頭への血液供給が不足または停止することで、骨頭は栄養不足に陥り壊死を起こします。
    成長後は成長板が骨へと置き換わっており、血液は骨内にある多数の血管から大腿骨頭へと供給されるため、レッグペルテスが起こらないと考えられています。
  • 2.遺伝的な原因 〜特定の犬種での発症〜
    レッグペルテスのトイプードルは、股関節に生まれつき微々たる異常があると言われています。また、トイプードルやウエストハイランドテリアなど、特定の小型犬での発症がみられており、この異常には遺伝性があると考えられています。そのため、レッグペルテスの犬は繁殖に使わないことがすすめられています。しかし、親犬がレッグペルテスを発症していなくても、レッグペルテスの遺伝子が隠れている可能性があるので、発症していない犬の子でもレッグペルテスを発症しないとは限りません(レッグペルテスは常染色体劣性遺伝だと考えられています)。

5.トイプードルのレッグペルテスの症状

トイプードルがレッグペルテスを発症すると後肢をかばって歩いたり、股関節の周りを気にしたりするようになります。また、発症した後肢の筋肉が萎縮して薄くなったり、力が弱くなったりもします。
大腿骨頭自体は痛くならないため、骨頭壊死に続いて起こる股関節の障害による症状が出てから気付くことがほとんどです。

6.トイプードルのレッグペルテスの治療法

  • 1.内科的療法
    骨頭の壊死が引き起こす周りの組織の炎症を非ステロイド系抗炎症剤で抑える対症療法や、安静(ケージレスト)によって回復する例も稀にありますが、根本的な回復には至りません。
  • 2.外科的療法
    大腿骨頭切除術といわれる手術を行ない、壊死している大腿骨頭を取り除きます。トイプードル程の体重の場合、その後周囲の筋肉の一部や関節包を縫い合わせることで、線維性の偽関節を形成させます。偽関節は周りにある脚と骨盤を繋ぐ筋肉の力により支えられるので、手術後は獣医師の指示に従い、正しく運動させてあげましょう。回復率は100%に近く、ほぼ発症前と同様な日常生活を送る事ができると言われています。
    ※偽関節には周辺の筋肉の力が重要であることから、高齢になり筋力が弱ると、歩き方に再び障害が出ることもあります。また、雨天時や激しい運動後、しばらく運動をしていなかったあとなどに歩きにくそうにすることもあります。

7.トイプードルのレッグペルテス雑学

レッグペルテスはヒト医学においてアメリカのレッグ医師、フランスのカルベ医師、ドイツのペルテス医師が同時期に発表した病気です。ヒトでは男性に多い病気ですが、犬では性別による差はありません。
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